新版・Excelの複式事業簿~第6章:万能表~ 

Excelマネジメント

駆け出しの自営業者(個人事業主)が、自営を始めたはいいものの「帳簿をどう付け、どう保存すればよいのかわからない」という状況に陥ったときの一助となるよう、Excelで管理できる複式簿記――「新版・Excelの複式事業簿」。

第6章では、試算表・損益計算書(P/L)・貸借対照表(B/S)として使える「万能表」を作成をしていく。

~新版・Excelの複式事業簿~
作成ガイドライン

本記事はWindows版Excel 2021を基に解説しています。
Excel 365やMac版をご利用の場合、一部表示や機能に違いがある場合があります。

本連載で提供する「Excelの複式事業簿(以下、本システム)」および関連する解説記事は、個人事業主の帳簿作成業務をサポートするためのツールです。ご利用にあたっては、以下の事項にご同意いただいた上で、ご自身の責任において運用をお願いいたします。

1. 本システムは補助ツールであり、税務上の保証を行うものではありません
本システムは、入力されたデータに基づき機械的に複式簿記の計算および集計を行う「計算補助ツール」です。出力された数値の正確性や、それが税法上正当なものであるか(青色申告の要件を満たすか等)を完全に保証するものではございません。

2. 最終的な申告責任は事業主様に帰属します
確定申告における最終的な内容確認および納税の責任は、すべて事業主様ご自身に帰属いたします。本システムを利用して作成した帳簿や決算書によって、万が一税務調査で指摘を受けたり、追徴課税等の不利益が生じた場合でも、当サイト(撰述オートマタ)および筆者は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

3. 事業ごとの個別事情には対応できない場合がございます
本連載の解説は、一般的な個人事業主を想定した「基本ルール」に基づいています。事業の形態や規模、適用される特例などによっては、記事で触れていない特殊な処理や追加の仕訳が必要になるケースがございます。自身の事業における特有の税務処理について判断に迷われる場合は、必ず管轄の税務署や顧問税理士などの専門家にご確認ください。

4. 独自のカスタマイズに関するサポートについて
本システムは、関数や数式が精密に連携して動くよう設計されています。ユーザー様ご自身でシートの保護を解除したり、列を挿入したり、数式を書き換える等のカスタマイズを行った場合、思わぬ計算エラーやデータの消失を招くリスクがございます。万が一システムが崩壊した場合、原因の特定や復旧は各自でご対応いただくことになりますので、確かな知識をお持ちでない段階での独自の改変は控え、可能な限りデフォルトの構造のまま大切に運用していただくようお願いいたします。

万能表の役割

「新版・Excelの複式事業簿」における万能表は、「試算表」「損益計算書(P/L)」「貸借対照表(B/S)」の役割を担っており、1つのシートですべて利用することができる設計になっている。

  • 試算表
    • 一定期間のすべての勘定科目について借方・貸方の合計や残高を一覧表示し、記帳の正確性を検証するための表で、形式には「合計試算表」「残高試算表」「合計残高試算表」がある。
  • 損益計算書(P/L)
    • 一定期間の収益と費用を集計し、その期間の最終的な利益(または損失)を明らかにする財務諸表。
  • 貸借対照表(B/S)
    • ある一時点における資産・負債・純資産の残高を示し、事業の財政状態を表す財務諸表。

「万能表」シートの作成

ピポットテーブルを利用して、貸借の勘定科目と金額が表示される万能表を作成していく。

手順①:シートを作成してピポットテーブルを挿入する

  • 新シートを開いて、名前を「万能表」にする
  • [挿入]タブから[ピポットテーブル]を開いて[テーブルまたは範囲から]をクリック
  • [テーブル/範囲:]に「shiwake」を入力して[OK]をクリック
  • 左上の[ピポットテーブル名:]に「pt_master_summary」と入力して確定
  • 必要になるフィールドにチェックをつけて、右下のフィールドに割り振っていく

    フィルター:[年][月(日付)][日(日付)][帳票区分]
    列:[貸借区分]
    行:[分類][科目ID][勘定科目]
    Σ値:[合計/絶対金額]

手順②:ピポットテーブルの見た目を整え、テーブルを追加する

  • [デザイン]タブの[レポートのレイアウト]から[表形式で表示]を選択
  • [科目ID]のセルを右クリックして、[“科目ID”の小計]をクリックしチェックをはずす
  • [総計]を右クリックして[総計の削除]から総計を消す
  • [借方][貸方]行の隣のセルに[借方総計][貸方総計]を入力し、テーブル化する

    [先頭行をテーブルの見出しとして使用する]にチェックをいれて[OK]をクリック

  • 左上の[テーブル名:]に「tbl_master_drcr」と入力して確定
  • テーブル化した[借方総計][貸方総計]に以下の数式を入力

    借方総計:

    =IF(D8-E8>0, D8-E8, "")

    貸方総計:

    =IF(E8-D8>0, E8-D8, "")
  • 追加した[借方総計][貸方総計]のテーブルを、テーブル右下の[◢]から拡張させる
  • 万能表のシートの完成

万能表の使い方

冒頭に撰述した通り「新版・Excelの複式事業簿」の万能表は、試算表・損益計算書(P/L)・貸借対照表(B/S)として使うことができる。

試算表(合計試算表・残高試算表・合計残高試算表)として使う

万能表の[帳票区分]フィルターを[B/S][P/L]どちらにも絞らず、[(すべて)]で表示していると試算表として使用することができる。

損益計算書(P/L)として使う

期末に「仕訳帳」シートにて決算整理仕訳をしたのち、万能表の[帳票区分]フィルターを[P/L]に絞って表示すると、損益計算書として使用することができる。

貸借対照表(B/S)として使う

損益を繰越利益剰余金(もしくは元入金など)に振り替え仕訳したのち、万能表の[帳票区分]フィルターを[B/S]に絞って表示すれば、貸借対照表として使用することができる。

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