自営業の第一歩を踏み出したとき、まずぶつかる壁の一つが「帳簿をどうするか」という問題。

簿記の知識なんてないし、自分で帳簿をつけるのは難しそう。
でも会計ソフトってちょっと手が出ないし……
そんな問題を解決するため、簿記の知識が無くとも、日々の取引を見たまま、ありのままに1ずつ行入力していくだけで、システムが裏側で正規の「複式簿記」を自動生成してくれる「零式・Excelの複式事業簿」を構築していく。
第1章は「勘定科目リスト」を作成していく。
~零式・Excelの複式事業簿~
ガイドライン
――作成マニュアル――
――利用マニュアル――
本記事はWindows版Excel 2021を基に解説しています。
Excel 365やMac版をご利用の場合、一部表示や機能に違いがある場合があります。
◆
◆
零式・Excelの複式事業簿 ―― 勘定科目って?
「勘定科目」とは、簡単に言えばお金の動きに貼る「共通のラベル」のことだ。
「私はコレに〇〇円使った」「僕はコレによって〇〇円貰った」という時の、“コレ”にあたる名前を指す。
「食費に3万円使った」「給料で25万円貰った」など、お金が動いたきっかけ(=取引)に対して、社会的な共通認識として付けられた名前――それが「勘定科目」である。
例えば、取引先への移動で「電車代350円」を使い、出張で「ホテル代2万円」を支払った際、これらをいちいち「電車代」「宿代」と個別の名前で記録していては、帳簿は際限なく肥大し、管理不能に陥る。
そこで「旅費交通費」という一つのラベルに集約し、「旅費交通費・350円」「旅費交通費・2万円」と整理することで、何にいくら使ったのかが誰の目にも明らかになり、帳簿としての精度が劇的に向上する。

また、このラベルは「貰った=収入」や「使った=支出」時だけではなく、「お金を動かした=移動」時にも使用する。
「財布のお金を銀行に預けた」場合、「現金」と「普通預金」という勘定科目を用いて記録していくということだ。
「零式・Excelの複式事業簿」では、難しく考える必要はなく、このラベルをあらかじめリスト化しておくことで、日々の記帳ではリストから選択するだけでいい仕組みを構築していく。
◆
「勘定科目リスト」のシートを作成する
それではここから「零式・Excelの複式事業簿」の作成に入っていく。
なお、ここでは基本的に青色申告の際に使用する「勘定科目」をまとめてリストとして作成していくため、コピペなどですべてそのまま同じように作成してもらえればOK。
また、新たな「勘定科目」が必要になった場合は後から追加することも可能になっている。
◆
「kamoku」テーブルを作成する
- Excelで新規ファイルを開き、シート名を「勘定科目リスト」に変更する
- 各セルに、見出しとなる以下の名称を入力する
- A1:
- 勘定科目一つ一つに割り振る番号のようなもの
- B1:
- 勘定科目がどのグループに属するかを決める
- C1:
- 勘定科目名を入力していく
- D1:
- 勘定科目の具体的な内容例
- E1:
- 決算時に使用する「貸借対照表」「損益計算書」の区分
- F1:
- 税金がかかるものか否かを判定する
- G1:
- 領収書や請求書など取引の証拠が必要なものか否かを判定する
- H1:
- 自由に入力可能
- A1:
- A1セルからH1セルまでを範囲選択して、[挿入]タブから[テーブル]をクリック
- [先頭行をテーブルの見出しとして使用する]にチェックをつけて[OK]をクリック
- [テーブルデザイン]タブを開き、右上の[テーブル名:]に「kamoku」と入力
- C列をクリックして全体を範囲選択してから、Ctrlキーを押しながらC1セルをクリックして、C1セル以外のC列を範囲選択している状態に
- 名前ボックスに「勘定科目」と入力して確定
- ①Excelで新規ファイルを開き、シート名を「勘定科目リスト」に変更する


- ②各セルに、見出しとなる名称を画像の通りに入力する

- ③A1セルからH1セルまでを範囲選択して、[挿入]タブから[テーブル]をクリック

- ④[先頭行をテーブルの見出しとして使用する]にチェックをつけて[OK]をクリック

- ⑤[テーブルデザイン]タブを開き、右上の[テーブル名:]に「kamoku」と入力

- ⑥C列をクリックして全体を範囲選択してから、Ctrlキーを押しながらC1セルをクリックして、C1セル以外のB列を範囲選択している状態に


- ⑦名前ボックスに「勘定科目」と入力して確定

◆
勘定科目などデータをすべて入力する
テーブル化した各見出し列にデータをすべて入力していく。
なお、以下に用意している各タブ内の文字を全範囲選択して、Excelの2行目(テーブル内1行目)に右クリックから[貼り付けのオプション]⇒[貼り付け先の書式に合わせる]を選択すれば、まとめて入力が可能。




- 科目ID
- 分類
- 勘定科目
- 例
- 帳票区分
- 税区分
- 証憑区分
100
101
102
110
111
120
121
122
130
140
141
142
150
190
200
201
210
220
230
240
290
291
300
400
480
490
500
511
512
513
514
515
516
517
518
519
520
521
522
523
524
525
526
527
528
529
530
531
590
600
601
690
691
1_資産
1_資産
1_資産
1_資産
1_資産
1_資産
1_資産
1_資産
1_資産
1_資産
1_資産
1_資産
1_資産
1_資産
2_負債
2_負債
2_負債
2_負債
2_負債
2_負債
2_負債
2_負債
3_純資産
4_収益
4_収益
4_収益
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
5_費用
6_その他
6_その他
6_その他
6_その他
現金
Suica
PayPay
A銀行(名称自由に変更可)
B銀行(名称自由に変更可)
備品
車両運搬具
ソフトウェア
売掛金
前払金
敷金・保証金
前払費用
棚卸資産
事業主貸
クレカ未払金
未払金
借入金
買掛金
預り金
前受金
事業主借
未払消費税
元入金
売上高
家事消費等
雑収入
仕入高
通信費
消耗品費
新聞図書費
旅費交通費
接待交際費
水道光熱費
地代家賃
支払手数料
外注工賃
広告宣伝費
租税公課
修繕費
損害保険料
減価償却費
荷造運賃
給料賃金
専従者給与
福利厚生費
利子割引料
貸倒金
リース料
雑費
現金過不足
損益
期首在庫の処理
期末在庫の計上
手元にある事業用の現金、小銭。
交通系ICカード。(事業用として残高管理するもの)
スマホ決済・電子マネー。(事業用として残高管理するもの)
メインの事業用口座。(※実際の銀行名に変更してOK)
サブの事業用口座。
10万円以上のパソコン、カメラ、デスクなど。(※減価償却の対象)
事業用の車やバイク。(※備品とは分けて減価償却)
10万円以上の高度なツールや自社サイト構築費用など。
まだ入金されていない売上。後で振り込まれるお金。
商品やサービスを受ける前に支払った手付金など。
事務所や店舗を借りる際に大家に預けたお金。(退去時に戻るため)
年払いのサーバー代や保険料など、来年分のサービス料金を先に支払ったもの。
年末時点での、まだ売れていない商品の在庫。(※物販業などで使用)
事業用のお金から、個人の生活費や税金・年金を払った時。源泉徴収もコレ。
事業用クレジットカードの利用代金など、後で支払うお金。
決算をまたいで継続的に発生する家賃や利息などの後払い分。
銀行や日本政策金融公庫などからの事業用ローン。
商品の仕入れを「ツケ(後払い)」にした場合。(※物販業などで使用)
外注先から源泉徴収した税金など、一時的に預かっているお金。
案件に着手する前にクライアントから受け取った前払い金など。
個人の財布から、事業用の経費を立て替えて支払った時。
確定申告後に支払う予定の消費税。
個人事業主の「資本金」。毎年の決算処理で自動計算されるため普段は使わない。
メインの収入。原稿料、アフィリエイト報酬、販売代金など。
自分の店の商品を自分で食べたり使ったりした場合。(売上と同等に計上)
本業以外の少額収入。持続化給付金、キャッシュレス決済還元ポイント、還付金など。
販売用商品の仕入れ費用。
スマホ代、ネット回線代、切手代、サーバー・ドメイン代など。
10万円未満のパソコン、文具、日用品、コピー用紙など。
資料用の書籍、雑誌、電子書籍、新聞代など。
取材や打ち合わせ、営業に行くための電車代、バス・タクシー代、宿泊費など。
取引先との飲食代、打ち合わせのカフェ代、お中元、お祝い金など。
事務所の電気代、水道代など。(※自宅兼用の場合は事業分を按分)
事務所の家賃、駐車場代など。(※自宅兼用の場合は事業分を按分)
クラウドソーシングサイトに引かれるシステム手数料や、コンサル料など。
外注ライターやデザイナーへのお手伝い報酬。
自身のWEBサイトのネット広告代、チラシ作成費、名刺代など。
収入印紙、個人事業税、事業用車両の自動車税や固定資産税など。
パソコンや事業用車両、事務所の設備の修理代など。
事務所の火災保険料、事業用車両の自動車保険料など。
10万円以上の備品(パソコン等)の価値の目減り分。(※決算時に分割計上)
商品や資料の発送費用、段ボール代など。
アルバイトやパートなどの従業員への給与。(※事業主本人は不可)
税務署に届出をした家族従業員への給与。
従業員のための慰安旅行やお茶代など。(※事業主一人の場合は不可)
事業用借入金(ローン)の利息部分。
回収できなくなった売掛金などの損失。
コピー機や営業車などをリース契約している場合の支払い。
振込手数料やごみ処理代など、他の科目に当てはまらない少額の出費。
実際の現金と帳簿の残高が合わない時の一時的な処理。
決算時に各科目の残高を集約し、利益を算出するための計算用科目。
去年売れ残った在庫を、今年の経費(仕入)に振り戻す処理。
今年売れ残った在庫を、今年の経費から引いて資産にする処理。
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
B/S
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
P/L
(この欄は空白)※貼付け後に削除してください
(この欄は空白)※貼付け後に削除してください
(この欄は空白)※貼付け後に削除してください
(この欄は空白)※貼付け後に削除してください
不課税
不課税
不課税
不課税
不課税
標準課税
標準課税
標準課税
不課税
要判定
不課税
不課税
不課税
不課税
不課税
不課税
不課税
不課税
不課税
不課税
不課税
不課税
不課税
標準課税
要判定
要判定
標準課税
標準課税
標準課税
標準課税
標準課税
標準課税
標準課税
要判定
要判定
標準課税
標準課税
要判定
標準課税
非課税
不課税
標準課税
不課税
不課税
要判定
非課税
不課税
標準課税
要判定
不課税
不課税
不課税
不課税
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以下のようなテーブルが完成していればOK。

◆
決済手段を抽出できるよう設定しておく
「kamoku」テーブルへのデータ入力が完了したら、勘定科目の中から決済で使う科目をリストアップしておく。
これにより、取引帳シートに普段の取引を記帳する際、選択すべき勘定科目が自動的に絞って表示されるようになる。
なお、ここで作成した列は通常時使うことはないため、入力が完了したら非表示にしておくことを推奨している。
- ①J1セルにと入力して、J2セルに以下の数式を入力
=FILTER(kamoku[勘定科目],(VALUE(LEFT(kamoku[分類],1))<=3)+(LEFT(kamoku[分類],1)="6"),"")
- ②データが反映されていればOK

- ③右クリックして[非表示]を選択

◆
「勘定科目リスト」シートの使い方

完成した勘定科目リストは、システムが参照するための「マスターデータ」となる。
一度構築してしまえば、基本的に日々の入力で直接このシートを編集することはない。
なお、リスト内の「A銀行」「B銀行」といった名称は、自身が実際に利用している銀行名へ自由に変更してOK。
青色申告の公的な勘定科目は「普通預金」だが、日々の記帳においては「どの銀行にいくらあるか」を把握できる方が管理上のメリットが大きい。
確定申告の際に、各銀行の残高を合算して「普通預金」として報告すれば制度上の問題はないため、自身の管理しやすい名称にカスタマイズすることを推奨している。
◆
勘定科目を追加したくなった場合の追加方法と注意事項
先述したように、基本的には日々の運用においてこのシートを直接編集する必要はない。
しかし、事業の拡大や環境の変化に伴い、「新しい銀行口座を開設した」「決済手段にd払いを追加した」といった、勘定科目をどうしても追加したい場面が出てくることもあるだろう。
そういった場合に、システムの整合性を保ったまま安全に項目を増やすための手順を以下に記しておく。
なお、勘定科目を追加する際は、「システム上の制約」として必ず以下の点に注意してほしい。
以下のプロンプトをコピペして、必要事項を入力した上でAIに質問してみよう。
私は個人事業主(青色申告)です。
以下のような取引が発生したため、自作のExcel事業簿に勘定科目を追加して記帳したいと考えています。
■発生した取引の内容
「【ここに、どのような取引があったか具体的に入力してください。例:仕事で使う〇〇のサブスク代を払った、取引先と喫茶店で打ち合わせを行った 等】」
この取引を記帳するのに最も適した「勘定科目名」を提案してください。
また、その勘定科目を私のシステムに登録するため、以下の各項目の設定値を青色申告決算書(一般用)のルールに基づいて出力してください。
■出力してほしい項目
・勘定科目名(一般的な名称)
・分類(1_資産、2_負債、3_純資産、4_収益、5_費用 のいずれか)
・帳票区分(B/S、P/L のいずれか)
・税区分(非課税、不課税、標準課税、要判定 のいずれか)
・証憑区分(領収書やレシートの保存が必要ならTRUE、不要ならFALSE)
■出力形式
勘定科目名:
分類:
帳票区分:
税区分:
証憑区分:
提案の理由・解説:
- ①勘定科目を追加したい行を全体範囲選択して、右クリックから[挿入]を選択


- ②挿入された行に、追加したい勘定科目のデータを入力すればOK


