自営業の第一歩を踏み出したとき、まずぶつかる壁の一つが「帳簿をどうするか」という問題。

簿記の知識なんてないし、自分で帳簿をつけるのは難しそう。
でも会計ソフトってちょっと手が出ないし……
そんな問題を解決するため、簿記の知識が無くとも、日々の取引を見たまま、ありのままに1ずつ行入力していくだけで、システムが裏側で正規の「複式簿記」を自動生成してくれる「零式・Excelの複式事業簿」を構築していく。
利用マニュアルChapter3では、一年間の帳簿の最終仕上げである決算整理仕訳について解説する。
~零式・Excelの複式事業簿~
ガイドライン
――作成マニュアル――
――利用マニュアル――
本記事はWindows版Excel 2021を基に解説しています。
Excel 365やMac版をご利用の場合、一部表示や機能に違いがある場合があります。
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決算整理仕訳とは?

取引帳へのすべての取引入力が終わり、いよいよ1年の総決算である「決算整理仕訳(けっさんせいりしわけ)」のフェーズへと移行する。
決算整理仕訳とは一言で言えば、「お金の動き」と「ビジネスの現実」のズレを補正する帳簿の最終アップデートだ。
日々の入力で蓄積されたデータには、「実際にサービスを使ったのは今年だが、支払いは来年」といったタイムラグが必ず含まれている。
これらを綺麗に整理し、1月〜12月までの「今年の正しい利益」を確定させ、帳簿を申告用の『完成品』へと仕上げるのがこの作業の目的である。
補助簿編で作成した「決算補助シート」を利用して、簿記の知識がなくとも決算整理仕訳を行えるように零式・Excelの複式事業簿を構築していく。
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自分の事業に「必要なもの」だけをやればいい

決算整理仕訳は、事業者によってやらなければならない作業が異なってくる。
ネットで検索すると「決算でやるべき〇つのこと」といったリストがたくさん出てくるが、それをすべてこなす必要はない。
たとえば、ライターやデザイナーなど在庫を持たない事業であれば「棚卸(在庫計算)」の作業は不要な場合が多いし、今年10万円以上のパソコンや車を買っていなければ「減価償却」もスルーして構わない。
本記事では、個人事業主でよく発生する代表的な決算整理のパターンを解説していく。
自分のビジネスに当てはまるものだけを見つけ出し、確実にクリアしていこう。
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零式・Excelの複式事業簿での決算整理仕訳の手順
個人事業主にとって、必要になる代表的な決算整理仕訳は主に次の5つになる。
- Step1:現金過不足の仕訳
- 「現金の実際の残り残高」と「帳簿上の数字」を完全に一致させる
- Step2:仕入・繰越商品の仕訳
- 売れ残った商品の仕入代を今年の経費から除く
- Step3:前払・未払費用の仕訳
- 年をまたぐ経費のズレを直し、今年の分だけを正しく収める
- Step4:固定資産の減価償却仕訳
- パソコン等の資産が今年減らした価値を経費にする
- Step5:未払消費税の仕訳
- 今年分の消費税の納税額を記録し、正しい利益を計算するため
その他、すでに代金を受け取っているが、サービスを提供するのは来年になる場合の前受金の処理や、郵便切手や収入印紙、梱包資材などが年末に大量に未使用のまま余っている場合は、それらを「貯蔵品」という資産勘定に振り替える処理などがある。
もし自身の事業において「これも決算整理が必要なのだろうか?」と迷うイレギュラーなケースが発生した場合は、まずは身近な生成AIに状況を質問して処理のアタリをつけ、最終的には税理士や管轄の税務署に相談して確実な判断を仰ぐようにしてほしい。
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Step1:現金過不足の仕訳

日々の取引を取引帳に記帳していくと、自身では慎重・丁寧に管理していも、現実の所持している現金と帳簿上に記されている現金に差額が出てきてしまうことがある。
簿記の原則では、日々のズレを一旦「現金過不足(資産・負債の仮勘定)」としてキープし、原因を調査した上で、年末に未解決のものを「雑費・雑収入」に振り替えることになっている。
零式・Excelの複式事業簿でも「現金過不足」の勘定科目を用意しているので、簿記の知識を有している人は、差額が判明した時点で月次ごとなどに一旦現金過不足の仕訳を行ってもかまわない。
しかし本システムでは、期末の時点で発生している現金のズレを、ダイレクトに「雑費」または「雑収入」として1行で相殺する最短ルートを採用している。
もちろん、この処理を行う前には必ず自身の入力漏れなどを徹底して調査し、どうしても原因が特定できない場合の「最後の防衛策」として活用するのが大前提だ。
- 万能表もしくは全体集計シートから、期末時点の帳簿上の現金残高をチェック
- 実際の手元にある現金残高をチェック
- 決算補助シートのStep1に、「帳簿上の現金残高」と「実際の財布の現金」の金額を入力する
- 帳簿上の残高の実際の残高に差額がある場合は、Step1に表示された入力例に沿って取引帳に入力を行う
- 万能表もしくは全体集計シートの現金残高が、実際の現金残高になっていればOK
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Step2:仕入・繰越商品の仕訳

商売をしていると、「今年仕入れた商品」と「今年売れた商品」の数は必ずしも一致しない。
もし年末に売れ残っている商品の代金までそのまま今年の経費(仕入)にしてしまうと、儲け(利益)が不当に少なく計算されてしまう。
これは正しい経営状態を歪めるだけでなく、税務ルールとしても明確なNGだ。
そこで、今年の「正しい経費」を確定させるために、年末に在庫の出し入れを帳簿上で調整する。
今年事業を開始したばかりで去年から引き継いだ在庫がゼロだった場合は、シンプルに「今年仕入れた商品の総額」から「年末に売れ残った商品の金額」を引き算して、来年へ回す作業を行うだけでよい。
- 前年の「棚卸資産」がある場合(なければこの手順はスキップ)
- 棚卸評価台帳にて期末時点の商品在庫数を入力する
- 仕入台帳への入力がすべて完了している状態が前提のため、注意
- 棚卸評価台帳の総棚卸高を確認する
- 決算補助シートのStep2「12/31時点の在庫額(期末) ➡」横のセル(B11)に、手順②で確認した総棚卸高を入力
- 取引帳へ入力例通りにデータを入力する
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Step3:前払・未払費用の仕訳

今年1年間の帳簿から、年をまたいだ「来年分の経費」を引き算し、逆に「まだ払っていない今年の経費」を足し算する作業が必要となる。
たとえば「12月に先払いした来年1月の家賃」や「12月分の固定インターネット通信費が、来年1月になってから請求される」といったタイムラグが必ず残っている。
これらをそのまま放置すると、今年の利益が狂い、余計な税金を払うか、逆に申告漏れを指摘されるリスクが生じる。
お金の動きに惑わされず、「今年の事実は今年のもの」として帳簿の枠を綺麗に揃えるために行う。
ここでは「来年の分を先に支払っている家賃」を例に、前払費用の処理方法を解説しているが、未払費用の場合も手順に変わりはない。
- ①来年の分の前払いしている費用をピックアップ

- ②決算補助シートのStep3に、前払いしている(もしくは未払いの)費用の種類を選択、金額を入力して処理の種類を選ぶ


- ③右側に出てきた入力例通りに、取引帳にデータを入力する



なお、ここで行った「前払・未払費用の決算整理仕訳」は、翌年の始めにすべて真逆にひっくり返して元に戻す作業がセットで必要になる。
この年明け最初に行う具体的な手順については、次回の【翌期首の手続き編】で詳しく解説しているので、参照いただきたい。
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Step4:固定資産の減価償却仕訳

高額で数年間使い続ける資産は、買った瞬間に全額が経費になるのではなく、時の経過とともに少しずつ価値が「目減り」していく扱いとなっている。
「今年1年間で使い古した分の価値」を正確に割り出し、今年の帳簿に正しい経費として着地させるために「減価償却(げんかしょうきゃく)」という手続きが必要となる。
- 固定資産台帳を開き、評価年(B2セル)に当年を西暦で入力する
- 決算補助シートを開いて、Steps4の「償却する資産IDを選択 ➡」のプルダウンから資産IDを選択
- 右側に出てきた入力例通りに、取引帳にデータを入力する
- 固定資産が複数ある場合は、同じ手順ですべての資産IDの減価償却を行う
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Step5:未払消費税の仕訳

まず大前提として、この作業が必要になるのは「インボイス制度に登録している事業者」または「消費税の納税義務がある課税事業者」のみである。
年間売上が1000万円以下で、インボイスにも登録していない免税事業者は、このステップを完全にスルーして構わない。
「零式・Excelの複式事業簿」では、日々の売上や経費をすべて消費税込みの金額で記録する「税込経理」を採用している。
税込経理の場合、日々受け取った消費税も一旦すべて「売上」のなかに混ざっている状態だ。
そのため、年末に「今年、最終的に国へ納めるべき正味の消費税」を計算し、それを今年の経費(租税公課)として利益から差し引くことで、はじめて今年の正しい純利益が確定する。
- 仕訳帳にて、[軽減チェック][申告チェック][要判定チェック]に入力忘れがないかを確認する
- 消費税集計シートを開き、必要な情報のみ表示するようにフィルターで絞る
- [年]フィルターを当年のみに絞る
- [税区分]のフィルターを開く
- 「複数のアイテムを選択」をチェック
- 「軽減税率」と「標準課税」をチェック
- [OK]をクリック
- 貸方(売上高など)の税額から借方(経費)の税額を引いて、消費税の納税予定額を計算する
- 手順③で計算した納税予定消費税額を、決算補助シートのStep5「消費税の納税予定額 ➡」に入力する
- 右側に出てきた入力例通りに、取引帳にデータを入力する
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零式・Excelの複式事業簿――決算整理仕訳まとめ
先に撰述したように、決算整理仕訳は事業者によってやらなければならない作業が異なってくる。
すべての事業の決算整理仕訳を解説することは困難を極めるため、以下の質問用プロンプトなどを用いてChatGPTやGeminiなどのAIに「自身の事業で必要な決算整理仕訳」を聞いた上で、対応していただきたい。
まず以下のプロンプトをコピペして、必要事項を入力した上でAIに質問してみよう。
あなたはプロの税理士であり、簿記の専門家です。
私は個人事業主(青色申告)です。今年の決算整理仕訳について教えてください。
【私の事業状況・今年あった特殊な取引】
※ここにあなたの状況を自由に書いてください。
(例:事業で使っていた30万円の機材を廃棄した)
(例:〇〇の補助金を受け取ったが、まだ入金されていない)
上記の状況を踏まえ、私に必要な「決算整理仕訳」を洗い出してください。
※ただし「現金過不足」「在庫の棚卸」「前払・未払費用」「固定資産の減価償却」「未払消費税」の基本的な処理はすでに完了しているため、提案から除外してください。
必要な決算整理仕訳を提案された場合、その取引入力をどのように入力すればいいかの質問プロンプト。以下をコピペして更に質問しよう。
ありがとうございます。
では、提案していただいた決算整理仕訳を、私が使っている自作の会計システム「零式・Excel의 複式事業簿」の取引帳にそのまま入力できるよう、以下のルールに「必ず」従って出力してください。
【システムの入力仕様(取引帳への入力ルール)】
私は「取引帳」というシートに1行ずつデータを入力します。列は以下の6つです。
1. 日付:「12/31」
2. 取引区分:以下のルールで判定してください。
・売上などの収益(プラスのハプニング)が絡む場合 =「収入」
・経費などの費用(マイナスのハプニング)が絡む場合 =「支出」
・資産・負債・純資産の間だけで動く取引 =「移動」
3. 「勘定科目」の列:取引の「理由・目的」となる科目を入れます。借方・貸方の概念に囚われず、必ず以下のルールを厳守してください。
・取引区分が【収入】の場合 ➡ 「売上高」などの収益科目をここに配置
・取引区分が【支出】の場合 ➡ 「消耗品費」や「雑損失」などの費用科目をここに配置
・取引区分が【移動】の場合 ➡ 複式簿記の「借方(左側)」にくる科目をここに配置
4. 「決済手段」の列:お金の「出入り口」となる科目を入れます。必ず以下のルールを厳守してください。
・取引区分が【収入】の場合 ➡ 「普通預金」「現金」、または未収の相手方となる「売掛金」や「未収金」をここに配置(=お金が入ってきた場所)
・取引区分が【支出】の場合 ➡ 「普通預金」「現金」「クレカ未払金」、または未払の相手方となる「未払金」や「事業主借」をここに配置(=支払いの元・負担した場所)
・取引区分が【移動】の場合 ➡ 複式簿記の「貸方(右側)」にくる科目をここに配置
5. 金額:算出した金額
6. 詳細:摘要欄です。ここには必ず「決算整理仕訳:〇〇」というように「決算整理仕訳」というキーワードを含めてください。(※システムがこの文字を検知して消費税を自動で不課税にするため)
上記ルールに基づき、私が迷わず入力できるよう、具体的な入力値を表形式(日付 | 取引区分 | 勘定科目 | 決済手段 | 金額 | 詳細)で出力してください。



































